・雨降る電停に滑り込むシェーナイヘ・リューダースドルフ電気軌道(SRS) 44 2004年8月
ラーンスドルフ通り(Rahnsdorfer Str. ドイツ連邦共和国ブランデンブルク州シェーナイヘ)
ドイツの首都ベルリンの東郊には3っつの郊外形電気軌道があります。
そのひとつが、ケペニック地区にあるSバーンのフリードリヒスハーゲンを起点にするSRS(Schöneicher-Rüdersdorfer Strassenbahn:シェーナイヘ・リューダースドルフ電気軌道)です。全長は14.5km・軌間は1000mmで、おもに路肩に敷かれた単線(一部複線)の軌道を走ります。名鉄美濃町線のようなシチュエーションですが、これが人口300万人の首都の郊外にあるのが面白いところ。それだけ、日本の大都市が際限なく拡大しているという証拠でもあるでしょう。
2004年の8月に、お隣のラーンスドルフを起点にするヴォルタースドルフ電気軌道と共に乗車しました。しかし、
雰囲気の良いヴォルタースドルフが大変気に入ってしまった一方で、こちらは何か散漫な印象がぬぐえず、サイトでもたいして紹介はしておりません。そこで、今回は、ここの電車を取り上げたいと思います。
SRSの一般営業用の電車は、1981年タトラ製4軸連節車(KT4D)と、1966・68・73年製のデュワグ製の6軸連節車(GT6)です。どちらも他都市からの移籍車で、タトラはコットブスから1992~1994年に、デュワグはハイデルベルクから1999~2006年にやってきました。かつて東西ドイツの路面電車を代表する車輌に、同じ路線で乗れるというのは面白いところです。
22? 2004年8月 ドルフ通り(Dorf Str.) ※ドルフ通り=村通りという意味。
タトラKT4Dは片側面ドア・片運転台で、全長は18.11m。
4軸連節車という通り、連節部に台車はなく、車輌間は関節で繋がっています。
熊本などを走るブレーメンタイプの構造は、日本人には奇異に写りますが、ドイツにおいては特筆する構造でもないのでしょう。なおドイツ語ではKurzgelenktriebwagen(baiwagen)といいます。
共産圏の標準形ということもあり、鉄板で出来た無骨な電車・・というイメージです。どことなくJRの209系に通じる雰囲気もありそう。なお、この車輌の外装は、SRSの沿線風景が描かれています。一方で、車番はドア側側面の連節部にしか書いてないので、要注意。
41 2004年8月 ドルフ通り~ラーンスドルフ通り
デュワグGT6は両側面・両運転台で全長は20.10m。
一般的な関節部にも台車がある6軸式です。こちらはドイツ語ではJakobsgelenktriebwagen(baiwagen)といいます。Jakobsとは、人の名前。
デュワグカーの中でも、広島電鉄のドルトムントと同じ前面が曲面ガラスのタイプですので、馴染みあるスタイルといえるでしょう。よく見ると、手前の車輌の連結面側扉は2枚折り戸、奥の車輌は同4枚となっています。じつは、この車輌、右側面と左側面で窓の大きさが違っているのです。気がつきにくいように上手くまとまっていますね。乗車したときはこちらのほうが、多く走っていました。
木立の中を走るタトラカー。 2004年8月 ドルフ通り
SRSの公式サイト(独・英):
http://www.srs-tram.de/
車輌のデータは、こちらのサイトを参照しました。
http://www.tram2000.com/Schoeneiche/home_schoeneiche.htm