本州日本海側の西半分は、富士重工製の路線車の不毛地帯となっています。
富山県の高岡にはじまり山口県の長門市までの間、ヘビーユーザはゼロ、
ほかには、新車移籍車問わず僅かに数台を入れた事業者がいくつか見られるだけという状態です。
それでも金沢から特牛の間の生息台数がゼロだった富士5E・6Eに比べれば、7E・8Eは何台か見られるだけマシかもしれませんが。
この範囲で7E・8Eを新車で導入した数少ない事業者が松江市交通局。
当時、三菱の9m大型車でほぼ統一されていた中に1台だけポツンと導入されたUD+FHIのこの車両は、正に異色の存在でした。
・松江市交通局 日デKC-RM211GSN +富士8E 2009年2月 島根県松江市
そのような特異な背景には当然ながら事情があるわけで、もともとは八束郡八束町の資金で購入したもの。
八束町は中海の中央にある大根島と江島から成り、道路は堤防道路または橋により三方へ繋がっています。
そのうち、松江側からは松江市交のバス路線が越境しており、この車両が専用車(のひとつ)として投入されました。
「牡丹号」と側面に記されているのはそのため。ちなみに牡丹は八束町の特産物です。
なお、2005年3月に平成の大合併で八束町も松江市の一部となった後は、限定解除となったようで、
ほかの路線でも見られるようになりました。
さて、移籍車導入の波はここも例外ではなく、2008年度には数台の大型車が首都圏からやってまいりました。
その中に2台ほどの富士7Eが含まれています。思わぬ形で、富士重工架装車が増えることになりました。
・松江市交通局 いすゞU-LV318L? +富士7E 2009年2月 島根県松江市
こちらは、もと小田急バスの車両。
しかも、中扉がグライドスライドドアで床が1段下がる「ニューステップ車」がやってまいりました。
ただし、その機構は使用していないようです。
・松江市交通局 いすゞU-LV324L +富士7E 2009年2月 島根県松江市
もう1台は、逆T字窓+前中引戸の仕様。こちらは、もと京浜急行電鉄の車両です。
両車とも、ワンステップバスであることが、選ばれた理由かもしれませんね。
もともと大型車が少ない松江市交ということもあり、使用される機会は限定的なのかもしれません。
今回は、平日朝夕のみ見ることができました。
無理言って休んで出かけたので撮影できましたが、社会人にはちょっと手ごわい相手かもしれませんね。