
・ウィーン地方鉄道の終点 バーデン・ヨーゼフ広場(Baden Josefsplatz) 2004年9月
(オーストリア共和国ニーダーエスターライヒ州バーデン郡バーデン町)
日本では路面電車と郊外電車(高速電車)が完全に分化して発達してしまったため、路面電車型の車両を使う高速電車の筑豊電鉄などは奇異な存在にうつるようです。しかし他の国、とりわけドイツ語圏(独・瑞・墺)においては高速電車であろうと路面電車スタイルの車両が走るのが通常であり、路面電車との区分はあまり意識されません。最もスピードの面では筑豊電鉄よりも速いほどですが。
そんな、郊外電車の一つが、オーストリーの首都 ウィーンから南郊に伸びるウィーン地方鉄道(
WLB:Wiener LokalBahn)でウィーンとその南郊にある温泉街のバーデンとを結ぶ全長27.2kmの路線を保有しています。ただし、ウィーン側は市街南端のシェーディフカ広場(Schedifkaplatz)までしか路線がなく、そこから中心地のオペラ座前までの約3km、ウィーン市電に乗り入れています。その他は基本的に専用軌道の複線ですが、バーデン側の終点附近では路肩の単線併用軌道になっています。
ここの電車は、ウィーン市電が伝統的に赤と白のツートンなのに対して、伝統的に青とクリームを採用しています。
今回取上げるのは主力車種であるデュワグカー後期型(通称マンハイム型)の3車体8軸連節車です。
1979、83、87、89、91~93年に製造されました。なお、オーストリア国内用のデュワグカーはノックダウン生産方式が採用されていた関係で、メーカーは同国のSGP(Simmering-Graz-Pauker AG、現在はジーメンス系列)です。
今回は、
本サイトでは使っていない、重連時の画像を取上げます。


・(上)4-119ほか
・(下)4-112ほか いずれも2004年9月 レースドルフ(Leesdorf)にて
比較的オーソドックスな外観ですが、扉の数が少なめであることが路線の性格を匂わせます。
車内も、朱いモケットの片持ち式座席にテーブル付きと、観光路線向けのカスタマイズとなっています。

もともとは、上の写真のようなクリームにロイヤルブルーの塗り分けでしたが、後に新型車にあわせて、
白地に紺色の線になりました。
ところで、この2枚の画像を比べて「?」となった方は鋭い。ウィーン側終点がループ線となっているため編成の向きがバラバラなのです。
ただ、欧州諸国では、一般の鉄道を含めて、車両の向きがバラバラでも、あまり問題はないようです。