先日、所要で関西に行った際、ふと西院駅で線路を見てしまったのが、ことのはじまり。
久しぶりに、嵐電に乗ってみました。
しかし、今や殆どは、こういうカタチの電車なのですね。

・京福電気鉄道嵐山線 モボ625 2012年1月 西院
この現代の嵐電形は、1990年にモボ121形の機器を流用してモボ621形が製造されたのがはじまり。
以降、機器流用車のモボ611~616、モボ621~625、モボ631~633と、完全な新造車であるモボ2001~2002のあわせて16両が製造されています。画像のモボ625は1996年製。
製造後の変化もいろいろあるようですが、この車輌は種車譲りのU型イコライザを持つ川崎車輌製BWE-12台車を履いています。そして、制御器は芝浦製作所製のRPC-50を取り付けています。

米国ゼネラルエレクトリック社(GE)製の電空カム軸式制御器であるPCを、技術提携していた芝浦がライセンス生産したもの(こういった芝浦のライセンス品は元の形式の頭に「R」がつきます)。
これらシリーズの中で1500V用がRPC-101。これは国鉄に採用されてCS-1となり、そしてCS-5という旧型国電を代表する制御器へと発展するわけです。
GE~芝浦系のPC(RPC)制御器を使用した民営事業者というのは、阪急、阪神、南海、宇治川電気(山陽)と関西に多く存在します。嵐電・・・当時の京都電燈もその一派といえますが、この時代の路面電車的な路線で間接自動制御を採用したのはちょっと珍しいでしょう。ちなみに関東だと、沿線に事業所があったよしみなのか鶴見臨港鉄道が採用したほかは、京成が20形で、そして武蔵野鉄道が電化初期に採用していたくらい。
この傾向は、芝浦が東芝になった現在も、大きく変っていないようにも思います。
このように、日本の電車史において重要な制御器を現在も使用している、貴重な事例であるわけですが、モボ611形の中には近年、制御器を三菱製の単位スイッチ式に置き換えたものもあり、保守には苦労しているのかもしれません。
なお、関西だと、阪堺電軌には、PCの一つ前のGE製制御器である電磁単位接触器式のMおよびその流れを汲む芝浦RMKが残っていますね。