茨城県の乗合バス事業者というと、北から順に電鉄、茨交、関鉄の3社で大部分を占めるのは今も昔も変わりません。この中で、関鉄のエリアには常総筑波鉄道と鹿島参宮鉄道だった時代より、比較的小規模の事業者が幾つか存在しています。
たとえば、2001年に廃業した茨城観光自動車はそのひとつですが、関鉄が手中に収めた事業者も幾つか存在ます。それが、日本観光バスと日本水郷観光自動車でした(他に三ツ矢観光自動車が乗合事業を関鉄に譲受)。この2社のバス事業は、1999年に同じ関鉄傘下にあった竜ヶ崎観光バス(貸切専業)および関鉄本体の貸切事業と統合されて、現在は関鉄観光バスになっています。余談ですが、乗合事業を行っているにも関わらず「観光」と名のつく事業者が多かったのは面白いところ。
日本観光バスとは、随分壮大な名前だと思いますが、実際には土浦から北東方向の神立や安食(あんじき)方面に数路線を展開していた事業者。
一方、日本水郷観光は水郷観光交通と日本水郷交通が1967年に合併して成立した事業者。路線は佐原~潮来等にありました。この事業者の前歴が非常にややこしく、前者はもとは東京~銚子で利根川・利根運河経由の旅客船等を運行してた東京通運が出資した?水郷汽船(船舶事業者)とバス事業者の水郷観光が合併した京成系列の事業者で、後に船舶事業は再分離して京成マリーナを経て、現在はラクスマリーナとなっています。また、貸切バス事業もブルーバスとなって独立し、後に京成傘下に入った東洋交通と1970年に合併し、千葉中央バスになっています。
ということで、この2社の路線バスを1枚づつ。

・日本観光バス いすゞP-MR112D +北村 1997年9月 茨城県新治郡千代田町(神立駅)

・日本水郷観光自動車 いすゞP-MR112D +北村 1998年3月 千葉県佐原市
・・・関鉄となんも変わらない・・・。それもそのはず、どちらも関鉄からの移籍車です。
関鉄は、このいすゞMR+北村を1986~88年に25台を導入、うち日本観光に2台、日本水郷観光に3台が移籍しています。関鉄が小型車を纏めて導入するのはこのときくらい(コミバスは除く)で、以降はもうちょっと大きめの中型車になりました。
ちなみに、日本観光は関鉄観光統合時に、自社発注の大型・中型車や移籍の大型車も在籍していましたが
日本水郷観光のほうは、このいすゞMRだけとなっていました。
かつては、某所に保存されている三菱MRも在籍していたようですが。

・神立駅前にあった路線図と時刻表 1997年9月
※2016.07.27 画像を交換しました。