福島交通飯坂線 5000形 デハ5012+デハ5013
飯坂電車は1991年の昇圧まで、日本車輛東京支店製の自社発注車を中心とした陣容で
とくに昭和30~40年代に製造した近代的な車両が幾つかあったのも特徴的な点でした。
発注毎に異なる仕様となっていましたが、その第一陣となったのがこの電車。
連節車のデハ5012・5013です。
・福島交通飯坂線 デハ5012+デハ5013 1991年3月 桜水
1963年製。福島駅側がパンタグラフ付のデハ5012、飯坂側デハ5013です。
両端に寄った2扉の車体は長さが15100mmで、これは、当時飯坂線の主力であった、
モハ1200形に準じた規格です。
その車体は、張り上げ屋根に、隅にRのついた幅900mmの窓、前面はピラーで分割された3枚窓という構成で、1960年に飯坂東線用に製造された
2022・2023と相通じるものがあります。
ヘッドライトはおでこに左右2灯となり、これは後に在来車も準拠するように改造されました。
台車は枕ばねがコイルばね・軸箱守がウィングばね式でボルスタアンカーつきの日車NA13またはNA13T(連節部)。釣り掛け駆動方式で、主電動機は日車NE75(75kw)を両端の台車に2台づつ計4台を装備しています。
台車は同時期に製造された、福井鉄道200や、北陸鉄道6000(くたに)との共通点が感じられますね。
制御器も日車製の電動カム軸式NCA-754Lで、これは
北陸鉄道6010(しらさぎ)と同系です。デハ5012に搭載されていました。
なにゆえ連節車などを採用したのかは今一つ不明ですが、結局、飯坂線での採用はこれっきりで終わり、
続いて1966年に製造された
モハ5114+クハ5215は、普通のボギー車で3扉となりました。
ただし主要機器類や、独特の前面スタイル、そして窓・窓柱・扉幅といった主要寸法は引き継がれているようです(前面窓下部の処理は若干異なりますが)。
ちなみに、ボギーセンターとオーバーハングの値は、このデハ5000で12650mm/2900mmなのに対し、最後の自社発注であるモハ5300形は12600/2800mmですから、基本的には変わっていない・・・5000をそのままボギーにしたものと言えるかもしれません。