名鉄は1950年代後半~1960年代にかけて、いわゆるHL制御の車両の機器を流用して3700系列の電車を製造してゆきました。当初は木造車が種車でしたが、末期になると鋼製車も対象となります。この際に抜け殻になった車体は、中部地方の名鉄系列の事業者に譲渡されてゆきました。
名鉄の前身のひとつ、愛知電鉄が1928年に日本車輛で製造したデハ3300・3600、サハ2040を出自とするモ3300、モ3350→3600、ク2040もその一つ。
全通したばかり神宮前~吉田(豊橋)間の優等列車用に投入された18m級2扉クロスシート車で、1966年に残っていた13両全てが廃車になっています。
このとき余った車体は、大井川鉄道に2両、豊橋鉄道に4両、そして北陸鉄道に7両が譲渡されました。北鉄では3両を電装しモハ3771~3773に、残り4両はクハ1721~1724として、いずれも石川総線に投入しました。

・北陸鉄道石川線 クハ1721 1990年8月 加賀一の宮

・北陸鉄道石川線 クハ1723 1990年8月 鶴来
画像は1990年にもと東急7000系が導入されたため使用停止状態で留置されていたときのものです。
他に、モハ2両もありましたが、場所が悪く撮影していません。
Hゴム大好き?の北陸鉄道にかかると、旧型車もご覧の通り・・・前面窓だけでなく、側面も上段がHゴム固定式でスタンディーウィンドウのようになっています。また、1721は外板の張替が行われており、リベットが消滅・ウィンドウシルは段付きから平板に、雨どいも撤去されノッペリとした雰囲気になりました。
さらに、ヘッドライトが独特の小型のものになったため一種異様な感じですね。客用扉は7000系入線に伴いホーム高さの扛上が行われたため、暫定的にステップが埋められています。
台車は、よくあるU型イコライザの釣合梁式ですが、車体に比べて華奢な感じですね。
北陸鉄道の車両は、一時期のコトデンほどではないにせよ、台車の振り替えが度々発生していたようです。
ちょっと調べてみましたが、素性は不明です。