先月発売された、RMライブラリ187「名鉄木造車鋼体化の系譜」(清水 武 著)は、非常に興味深い内容であり
また、名鉄の雑多な旧型車の画像をこれでもかというほど集めており満足度の高い一冊でした
1950~60年代は、多くの大手私鉄が華やかな高性能車を走らせる一方、雑多な旧型車の整理に頭を悩ませていたようですが、こと名鉄は後者が酷く、また種車および流用する台車等の状態も決して良くなかったことがあちこちから伺えます。
その木造車の鋼体化で登場したのが3700系列 HL車。
かつて小学館の「コロタン文庫 私鉄全百科」で「性能は悪い」とはっきり書かれていたことは、難読の猿投行きの写真と共に、当時の鉄道少年たちの心に深く刻み込まれたようです。
実際に、定格出力75kwのWH556-J6×4台でMT編成では、ローカル私鉄や支線区ならともかく、高速で本線走行を行う名鉄では劣悪ぶりが目立っていたと想像できます。

・名古屋鉄道 モ3739 1991年3月 新岐阜

・名古屋鉄道 ク2751 1995年8月 知立
ということで、強烈な印象があった名鉄のHL車ですが、3700系は築港線の1両を除き既に存在しておらず、瀬戸線の3780系と、支線専用になっていた3730系をわずかにみた程度でした。
3730系は1964~1966年に製造されたグループで戦前製鋼製車の機器が主に流用されています。
1400mm幅の両開き扉と高運転台であるのがポイント。台車は、当然バラバラだったのですが、画像は最晩年で日車D系に振り替えられているようです。
客用窓は1000mm幅の2段窓で、それ自体はごく普通なのですが、上段の窓枠下隅が三角形になっているのが特徴でした。
上段のモ3739(-ク2739)は1964年製。撮影時は竹鼻線で使用されていました。
廃車は、この3年後の1994年です。
下段のク2751(-モ3751)は1965年製。撮影時は三河線で使用されていました。
名鉄のHL車では最後まで使用され、撮影した翌年の1996年に廃車になりました。
いまは、名鉄3700系といえば、3代目のほうになりましたね。