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Esslingen GT4
e0030537_22225876.jpg
 西ドイツの路面電車は第2次大戦後に、メーカー規格型の大型ボギー車そして連節電車を各都市で導入し近代化と輸送力の増強を図っていきます。この代表的なメーカーがデュッセルドルフ車両製造所・・すなわちデュワグ(DUEWAG)で、日本でも広島電鉄がドルトムントから中古車を購入したことで、その名や形は知られていると思います。

そのようなわけで、ドイツの近代型路面電車=デュワグカーといった誤解もあるかと思います。しかし、同社の採用例は地元のルール地方やその南のヘッセン州などで多いものの、他所では別のメーカーが手掛けた車両が数多くあります。とりわけユニークな車両なのが、バーデン=ヴュルテンベルク州のエスリンゲン機械製造所(Maschinenfabrik Esslingen)が、その近くにあるシュトゥットガルト(Stuttgart)向けに製造したこの連節電車でした。

シュトゥットガルトは坂道が多いためボギー車による付随車牽引は不向きであり、最初から連節電車を模索しました。その結果、1959年からこの形式が投入されるのですが、その特徴は下回りにあります。
 すなわち、2車体の連節でありながら、中間台車を廃止し代わりに前後の台車間にサブフレームを架け渡した点で製造コスト・保守コスト共に低下を狙っています。そして、出力100kwの主電動機を気動車のエンジンの如くサブフレームに取り付けて、カルダンシャフトと傘歯車で前後の台車の、それぞれ内側1軸を駆動する点にあります(同じ頃に製造された西ドイツの路面電車は、台車中央にモーターを1台配置し、両軸を傘歯車で駆動するモノモーター式が一般的)。

 車体は全長18000mm 幅は2200mm、自重19.5t。モノコックのボディは片運転台・片側面ドア(先頭車体2ドア、後方車体1ドア)で、前後を絞ってあるのはドイツの路面電車らしいつくり。台車中心と車端間は4000mmと、デュワグなどの連節車よりは500mm程度長めになっています。総括制御が可能で、重連で使われることが多かったようです。

 GT4とは4軸の連節車(Gelenktriebwagen)のドイツでの表記方法。そこにメーカーのエスリンゲンを冠して「MF. Esslingen GT4」などと呼ばれるようになったこの形式。1965年までに実に350編成が投入され主力車両となりました。
 他の都市では、フライブルグが19編成、ザールラント州のノインキルヒェンが8編成、ロイトリンゲンが3編成を導入しています。これらは両運転台・両側面ドアになるなどの差がみられます。また、途中でエスリンゲン社が車両の製造を止めたたため、フライブルグ向けに製造された最後の8編成は、ラシュタット車両製造所(Waggonfabrik Rastatt)により製造されました。

その後、シュトゥットガルトはその路線網の殆どを1000mmゲージから1435mmゲージに改軌、専用軌道率を向上しシュタットバーンに改築してゆきます(2004年にシュトゥットガルト中央駅で垣間見た光景)。 これにより、この連節車も廃車になり各地に譲渡されてゆきます。当然ながらウルムやハレなどドイツの都市が多いのですが、そのうち1編成が当時、観光の目玉として世界の路面電車を走らせることを企画していた高知(土佐電気鉄道)へやってくることになります。
e0030537_22225118.jpg
 片運転台・片側面扉では日本では使えないので、1964年製の714と1965年製の735の運転台側の車体を組み合わせています。
台車の改軌(1000mm→1067mm)などの改造を経て、1990年8月から使用開始。車番は735となりました。
それから時は流れ、2014年4月。これら外国型電車を持て余し荒れるに任せていた土電から、目玉となる車両を探していた福井鉄道に譲渡され「レトラム」の愛称で使われることとなりました。

個人的なことを言うと、高知ではいつもトラバーサの向こうにいて、まともな外観を見たことはなく、ドイツに行った際に見た程度。今回、福井でじっくりと観察してきました。

e0030537_00023001.jpg・丸さが印象に残る車体ですが、よく見ると窓の部分は平面で構成されていることがわかります。この、運転席両側の窓が開閉可能になったのは、高知に来て暫く経ってから(少なくとも1993年8月には改造されているのを確認)のようです。
e0030537_23281431.jpg・扉は、外側に開く両開きのスウィングドドア。ホームとの間には板が渡してありますが、これは福井に来てからつけたもの。この電車はツーマン運転なので、車掌が手足で動かしています。
中扉だけを使用し、運転席横の扉は営業時は閉鎖されています。
e0030537_23282778.jpg・パンタグラフは三脚の如く下が太くなっていくタイプ。欧州の電車ですから抵抗器は屋上搭載ですね。
e0030537_00180317.jpg・そして、台車は車体に隠れて殆どわかりませんが、ドイツらしく、積層ゴムで軸箱を支持するシェブロン式です。
e0030537_00025184.jpg・側面の方向幕も、ドイツのままの模様。
車内側にも同じ表示が出ます。
2014年は営業運転区間が、赤十字前以北の路面区間に限られていましたが、今年は武生始発に。鉄道線区間は駅を通過するので種別は「区間急行」になりました。

・・・とはいっても、上りは神明で後続の普通に追い越されるなど、至ってノンビリ運転ですが・・・ドイツの路面電車らしいきびきびした運転を期待すると、ちょっとはずれですね。

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 塗装だけでなく表記類もシュトゥットガルト時代のままとなっています。
扉の「SSB」は、路面電車~シュタットバーンを運営するシュトゥットガルト電気軌道(Stuttgarter Straßenbahnen AG)のこと。行き先表示はケルター広場(Kelterplatz)となっていますが、他のものもあるのかどうか。そして、窓下の広告「Möbel Center Wössner」は家具屋(同社の公式サイト?)のようです。

 それにしても、第一報を聞いたとき、こんな複雑な機構の電車を、よく福鉄も購入したなあと思いましたが、案の定、不具合多発となってしまいました。今年は安定した走行をしているようなので、このまま続いていったなら・・・と思います。
そして、できれば200形も・・・。

・土佐電気鉄道 735
2枚目 桟橋車庫 1990年8月 撮影
・福井鉄道 735
1枚目 三十八社、9枚目 市役所前、 他は神明 いずれも2015年4月 撮影


・参考文献
小林茂「西ドイツの路面電車【終】」 鉄道ピクトリアル218号(1968年12月) 

by hiro_hrkz | 2015-05-25 00:45 | 鉄道(海外) | Trackback | Comments(0)
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