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近江鉄道 モハ1形・クハ1213形
2015年 09月 13日
近江鉄道は、親会社の西武鉄道に倣ったのか、昭和30年代中ごろから自社の彦根工場で車両の「自作」をはじめます。このうち1963年と1966年に完成したのが、モハ1形1~6とクハ1213形1213、1218~1222です。
近江鉄道の車両は書類上は改造車となっているものが多々ありますが、モハ1形は1928年の全線電化・1500V昇圧時に投入されたデハ1~9のうち9、2~5(当時の親会社、宇治川電気より旧・神戸姫路電気鉄道1形の車体を譲り受けたもの)が出自となります。一方、クハはもと西武のクハ1250形の鋼体化ということですが、これとて書類上では蒸気動車や木造客車にたどり着きます。なお、クハ1221と1222は珍しく書類上も綺麗な新造車となっています。 車体は、前年の1962年に作られたモハ133形・クハ1214形とほぼ同一で、最大寸法(長・幅・高)は15890×2740×4220(クハ3917)mm。前面2枚窓で一応湘南形となっていますが、丸みが無く全般的にカクカクした印象となっています。1961年に、はじめて彦根工場が手掛けたクハ1212は丸妻だったので何か理由があったのでしょうか。屋根も一般的な電車に比べてやたらと薄い印象でしたが、グローブベンチレータがズラっと並んでいるところは西武系であることを感じさせます。 自重は装備品の変化と共に増えて行ったようです。1970年の諸元表によれば、クハは21.3t、モハは28.5t。このときは、台車はクハがTR11、モハはKS-33L、ブレーキはAMJ・ACJ(GEの自動ブレーキAVRのこと)、主電動機は芝浦SE-119C(70kw×4)で主制御器はGE PC-101C2でした。モハについては鋼体化前の機器を流用していたようです。 一方、1984年の諸元表では、クハが24.5t、モハが34.5t。モハの台車はDT12、ブレーキはAMA・ACA、主電動機はMT15(端子電圧675V・出力100kw)×4、制御器はCS5+CS9と国鉄型に交換されています。1970年代中ごろに旧型国電の解体を請け負っていたことと関連しているのでしょう。それにしても、これで6tも自重が増えるものなのか・・・ほぼ何もしていないクハが3.2tも増えるのは謎です。 画像はいずれも1990年代にはいってからのもので、モハ1以外、台車が西武から譲り受けたエアサスの住友FS-40になっています。また、ワンマン運転対応ということで、乗務員扉脇にバックミラーが取り付けられています。このほか、ブレーキは近江鉄道の特徴であった自家製のハンドルが特徴の全電気指令式(HRD)に改造されています。 1990年代中ごろまで使用されていましたが、1990年代後半に入り西武から401系を譲り受けると、そちらに書類上改造される形で廃車になりました。 このうち、最後まで残っていたモハ2+クハ1222は、廃車を前にした2000年に旧塗装のウォームグレーとローズ(つまりは西武の旧塗装と同一)に復刻して運転されました。 ・参考文献 白土 貞夫「私鉄車両めぐり 近江鉄道 (下)」 鉄道ピクトリアル240号(1970年8月) 白水 剛「関西地方のローカル私鉄の現況 1 近江鉄道」 鉄道ピクトリアル445号(1985年3月増)
by hiro_hrkz
| 2015-09-13 00:29
| 鉄道(近代形電車)
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Comments(2)
Commented
by
宵闇
at 2015-09-17 07:49
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この電車、初めて見た時西武の501系が近江へ転じたものだと思っていました。
でも自社発注車と聞いた時はびっくりしました。 走っていたときは近江は素通りしてしまい、個性的な旧型電車に乗っておけば良かったと後から後悔しました。
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Commented
by
hiro_hrkz at 2015-09-19 01:24
>>宵闇さん
近江の自家製電車は妙にカクカクしていて、なんとなく一斗缶のような電車だなあ・・と思いました。彦根工場(の出入り業者)は丸みを出すのが苦手だったと巷間伝えられるところです。そんな個性の強い近江自家製電車の究極だった220も風前の灯となり、寂しいところですね。 |