そろそろ代わりとなる車両ができあがりつつあるようなので
今回は、この福岡都市圏の通勤車で一つ。

・西日本鉄道 5506 2014年7月 西鉄久留米

・西日本鉄道 5033 2016年5月 都府楼前~西鉄二日市

・西日本鉄道 5140 2016年5月 三沢~大保
西鉄天神大牟田線の通勤電車の主力、5000形は1975~1991年の17年にわたり40編成136両が製造されました。
それまでに製造された600形は編成の自由度を高めるためか、基本全車両運転台付きで、動力車は1Mでしたが、1編成だけ製造された700形を挟んで、漸く3両もしくは4両の固定編成・2Mユニット(1C8M制御)となりました。
メーカは川崎重工で電装品が三菱なのは、600形以降6000形まで西鉄大牟田線の電車全てと同じです。
画像はすべて4連ですが、5506(1977年製)、5033(1986年製)は製造当初より4連で中間2両がM車、先頭車がT車なのに対し、5140(1988年製・最終編成)は当初3連で登場したものの、1991年に中間T車を追加し4連となっています。従って大牟田側の2両がM車となっています。パンタグラフの位置が異なるのはそのため。
また、5506の編成がパンタグラフ1基なのに、他が2基装備しているのは、補助電源が異なるのが理由で、5506はMGなのに対し他はSIVとなっています。離線対策で増設されました。
さて、西鉄の通勤電車というと独特のアクの強さが感じられますが、それはこの5000形で確立されたものと言えましょう。
前面が左右非対称で、運転席側だけ曲面ガラスを用いたいわゆるパノラマミックウィンドウになっているのは特に目立つ点ですが、前面そのものにはRがない切妻で、車体角のRが大きくとられているだけというのは、気が付きにくい点かもしれません。そして、前照灯と尾灯を一つに収めたライトケース。このパーツは特に重要なようで、構成は異なるものの全面改造後の600・700、さらには
宮地岳線に転出した300、果ては
西鉄の工場で改造した熊本電鉄の200形まで、有無を言わさず「西鉄の顔」という印象を与えることになりました。
側面に目を転じれば、独特の大きさの方向幕(・・といっても国電サイズとは思いますが)が、外枠含めて無塗装のユニットサッシ、取っ手の凹みが下部ではなく窓のあたりにある客用ドアといった点があげられます。
車体寸法も独特で、最大長は20mにわずかに満たない19.5m、そして車体幅は2670mm(最大寸法2740mm)。これは、地方私鉄建設規程の車体幅2744mm以内に収めた結果ですが、それでも他社(南海10000系等=最大2744mm、名鉄各車=2730~2740mm、京阪8000=2720mm)に比べて狭めの寸法で、これよりも狭いのは神戸電鉄の2600mm程度になります。
最後に車体の塗装。このパステルカラー調のアイスグリーンは、2年前に登場した特急電車 2000系とのバランスを考えての新塗装だったと思いますが、当時、他者の電車にはない色調だったので、より印象強いものになったのだと思います。
帯の色は、落成当初は黄色だったようですが、営業運転開始時までに赤色になりました。視認性を考えると妥当なところでしょうか。この帯の色を緑色に変えた5540ほかの「三井グリーンランド号」を最後に紹介しておきます。
この頃は、JR九州にも同様に811系の帯の色を変えた編成がありましたね。

・西日本鉄道 5540 1998年9月 薬院