かつて、様々な場所から電車を集めていたコトデン。
同社にもと阪神電鉄のジェットカー試作車の5001・5002が1051・1052として入線したのは、1977年のことでした。

・高松琴平電気鉄道琴平線 1051+1052 1997年3月 仏生山

・高松琴平電気鉄道琴平線 1052+1051(後ろは1015+1016) 1997年3月 仏生山
1958年、日本車両(5001→1051)、川崎車両(5002→1052)製。当時車齢19年ですから、よい物件だったのかもしれませんが、試作要素が強いものによく手を出したものだと思います。
最も購入したのは車体のみ。当時の瓦町駅は急カーブ上にホームがあり、その安全対策のため武庫川車両の手で2扉に改造されました。下回りは当時のコトデンの定番であるHL制御・電磁SME制動となり、台車と主電動機は京浜急行230形の発生品である汽車製造2HE、三菱MB-115AF(93.3kw)×4となっています。
これは、琴平線の中型車向けに大量に購入され、1020形(1035を除く)・1060形・1010形・1013形に使用され、同線の主電動機・台車の統一に大きく貢献しました。
なお230形といえば、1050形と同じ1977年から1979年にかけて長尾・志度線の(3代目)30形となっていますが、こちらにはもと阪神881形の2代目30形の台車・主電動機を取り付けています。この2代目30形の台車・主電動機も車両数以上に購入されコトデンの機器統一に貢献しています。実は、車体よりも床下機器のほうの統一がコトデンでは進んでいたのですね。
この後、阪神ではジェットカー量産車の5101・5201形合計30両の廃車が続きますが、1981年に2両が1060形となっただけで終わりました(ほかに2両が京福福井に譲渡)。長尾・志度線の車両増備・統一が急務だったためでしょうが、その後、5231形(→コトデン1053形1053+1054)の購入時に種車が尽きて2編成目が実現しなかったことを思うと、車両の譲渡というのはタイミングが合わないとなんとも難しいものであると感じるところです。
1051・1052は、その後、1984年に台車・主電動機を取り換えてWNドライブ化されます。
台車は枕ばねがインダイレクトマウント式でコイルバネ、軸ばねが緩衝ゴム式の住友FS-526(制御者はFS-026) で、主電動機は三菱MB-3239A(110kw×4)となっています。
2003年3月、1200形の入線に伴い、廃車となりました。