1955年の改軌時にはナニワ工機製の新車の
M15形3両を揃えた栗原電鉄ですが、それ以外の旅客車は、全て他社からの譲渡車となりました。
1956年1月に増備されたC14形C141、142は、もと阪急電鉄の木造車81形81・86(1923年川崎造船製)で、610系に機器を流用したために抜け殻となった車体を譲り受けたもの。現在では阪急電車の譲渡先といえば系列の能勢電しかありませんが、この頃は複数の事業者への移籍例がありました。一方で、台車は西武鉄道から購入した国鉄TR14系で、前年に同社からモハ204を譲り受けてM161としたことに続くものなのでしょう。この後も栗原電鉄は車両の供給を西武(所沢工場)に頼ることになります。
ともあれ関西の私鉄電車が関東以東に移籍した数少ない事例となりました。なお、形式の14は14m級車であることを示します。

・栗原電鉄 C152 1994年2月 若柳

・栗原電鉄 C151 1994年2月 若柳
C14形は1960・1961年に、西武所沢工場で車体を新製。最大長が15700mmになったため、形式・番号もC15形151、152に変わります。全長・全幅はM15形と同一で、車体もM15を形運転台にした形態となりました。
しかし、メーカーの違いから細部は異なり、側面の窓はスタンディウィンドウではあるものの下段はアルミサッシ。また前面窓は窓回りが平面構成、テールライトは埋め込み式と全般的に西武所沢の特徴が出ています。特に顕著だったのは車内で、薄紫色の壁に赤いモケットの座席など、当時の西武鉄道の電車に準じたものとなっています。
なお、連結相手のM15形に貫通路がないので、こちらも非運転台側は切妻で3枚窓・テールライト付きとなっていました。
晩年は殆ど動かなかったようですが、くりはら田園鉄道に移管される1995年まで在籍していました。
・参考文献
高橋 修『RM LIBRARY 23 関西大手私鉄の譲渡者たち(上)』 ネコ・パブリッシング 2001年
小林 隆雄「東北地方のローカル私鉄 現況11 栗原電鉄」 鉄道ピクトリアル477号(1987年3月) 電気車研究会