富山地鉄の富山軌道線は、1984年から車両の冷房化を開始しました。同線は1957~1965年に製造したデ7000形で統一されており、これに冷房を搭載する方法で進められました。しかし、最後の5両については28年ぶりの新車で代替し冷房化率100%を達成します。これが1993年7月に竣工したデ8000形で、走行機器等を含めた新造車が一挙に5両も入線したことは驚きでした。
・富山地方鉄道富山軌道線 デ8001 1999年6月 南富山駅前
・富山地方鉄道富山軌道線 デ8005 2004年5月 富山駅前
・富山地方鉄道富山軌道線 デ8003 2009年8月 富山駅前
路面電車の新造車といえばアルナ工機製という中にあって、デ8000は日本車輌で製造されました。これは同社の自社発注車の多くが日車製だったためでしょう。最大寸法が幅2490・長13500mmと国内では大きめで、幕板が厚く屋根肩が大きく切り取られていることなど、アルナ製の車両とは随分と印象が異なります。こちらのほうがどっしりとした感じですね。
扉は全て折戸で中扉は4枚折戸となっています。そのか、運転席横の窓上部に水切りが取り付けられているのも特徴的な点だと思います。
主電動機と主制御器は東洋電機製でVVVF制御となっています。型式は、前者はTDK-806(定格出力60kw)で各台車に1機づつ搭載。後者はATR-M260-RG629Dで、M:600V、2:1C2M、60:60kwモーターを意味しています。台車は日車製のNS-20で、円錐積層ゴム式の軸箱支持とエリゴバネの枕ばねを持ちます。外観は日車の一般鉄道用をそのまま縮小したような感じですね。
製造以来26年となりましたが、現在に至るまで外観上に大きな変化もないようです。来年の富山ライトレールとの接続では何か変化があるのでしょうか。