
東急7000系といえば、1988~1992年に各地の中小私鉄に多数が譲渡され旧型車を置き換えたことで知られます。それから約30年、平成も終わるというのにそれをもう一度見ることになるとは、正直想像だにしませんでした。

・養老鉄道 ク7906 2019年9月 美濃津屋

・養老鉄道 モ7706 2019年9月 美濃津屋
2007年10月に近鉄養老線から経営分離された養老鉄道は、2018年に8月に東急から7700系15両(3連×3本、2連×2本)の購入を発表。マニアの多くを驚かせました。親会社の近鉄で通勤車の新車投入が滞っている中、どのようにして車両更新をするのかは注目されていましたが、置き換える車両とあまり変わらぬ車齢(1963~1966年製)の車両を購入し、しかも今後20年は使う予定というのは予想の斜め上の展開と言ってよいでしょう。
とはいえ、東急7000系をベースにしているとは言うものの、1987年の7700系への改造時に、走行関係の機器、台車、車内内装と車体の鋼体以外は全て取り換えられているといっても過言ではないので、そちらを基準に考えるべきなのかもしれません(VVVFインバータの寿命は気になりますが)。養老鉄道は20.5m級車が入線できるのだから他にも候補となりそうな車両がありそうなのに・・・と思いましたが、こういった点も判断されたのかもしれません。ともあれ、オールステンレスカーは強い・・。

・養老鉄道 モ7712 2019年9月 美濃津屋

・養老鉄道 モ7812 2019年9月 美濃津屋
今回、購入の事業主体となったのは第二種鉄道事業者の養老鉄道ではなく、第三種鉄道事業者の養老線管理機構。池上線・東急多摩川線で最後まで使われた6編成(7701+7801+7901、7703+7803+7903、7705+7805+7905、7706+7806+7906、7712+7812+7912、7714+7814+7914)が入線しました。このうち、7712、7714が所謂「歌舞伎塗り」、他が全面に赤帯だけです。現在、3連2本(7701、7712)、2連2本(7703、7706)が竣工していますが、7712、7706は赤帯を養老鉄道のイメージカラーである緑の濃淡に変更しています。車番は東急時代と変わっていません。
車内は、3両編成の中間車が一部転換クロスシートになり、そのほかの座席のモケットが取り換えられています。機器構成は、7700系は電動車は1C4M、片側の先頭車(クハ7900)が制御車でCP、SIVを搭載しているので、編成短縮に伴う大きな改造はしていないと思われます。前面にスカートをとりつけたこと、そしてパンタグラフがシングルアームになっていることが外観では目につく差です。

・未改造で西大垣に留置されている7701