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ローカル私鉄は211系を夢見ているのか?
2020年 02月 21日
このうち213系と211系の一部が1M1Tの2両編成であることから、マニアの一部からは「これはたくさんのローカル私鉄に譲渡されるのでは?」という反応が見られた。さらに「〇〇鉄道は新車じゃなくてこれ買えばいいのに」とか「××系を導入した△△電鉄は悔しがっているんじゃ?」といった随分勝手な意見・憶測もあった。 たしかに、製造から30年少々で2~3両編成というスペック「だけ」を見れば、そのように感じるだろう。だが、軌間と電圧が合っていれば電車はどこでも走れるというものではない。 気になったのが、長さ・幅といった点をあまりに無視しているという点である。 ローカル私鉄を見てきたマニアからは、「あんなの買ったところで・・・」という反応が多かった。それは多くのローカル私鉄の車両限界が小さいことを知っているためであろう。 このうち、長さについては20m級車の入線が不可能で中型車以下しか入線できないところが多数存在することはご存知の方が多いと思う。一方で幅についても、そもそも私鉄は「地方鉄道建設規程」で国鉄よりも一回り小さい2744mm(9フィート)と定められている。これに準拠していれば、当然それよりも幅の広い車両は長さには問題がなくても入線できない。車体幅2800mmの17m級旧型国電を入手したローカル私鉄が少ない理由の一つはこれである。 最も、ローカル私鉄で人気がある日比谷線直通車は車体幅2800mmあるし、標準軌のコトデンが購入した阪神ジェットカーや京浜急行1000も車体幅が2750mm以上ある。いずれの事業者もどこかの時点で車体幅2800mmに拡げるきっかけがあったためである(たとえばコトデンや福島交通は自社発注車が2800mmだった)。しかし、それよりも幅広の車両が入線するとなれば、話は違ってくる。 もとJRのしなの鉄道ともとより国鉄直通を念頭に置いて建設された伊豆急行は置いておくとして、伊豆箱根駿豆線、富士急行、富山地方鉄道、秩父鉄道、長野電鉄は、国鉄の急行型・近郊型が走行した実績があるため、幅2950mm・長さ20000mmの国鉄車が入線しても問題はない。だがそれ以外の路線は、20m級車が入線していても、2950mm幅の実績はないのだから導入可能なのかは判らない。また、国鉄準拠の電車が乗り入れていたとしても、それを自社の車両にするとなれば別の問題が浮上する。たとえば留置線の間隔や有効長が対応できるのかといった点である。そして、過去に直通していたからと言って、その後の建造物が抵触しないかどうかは当然不明である。 これらを一つ一つ考えてゆくと、現時点でJR東海の電車が物理的に入線できると言えるのは6~7路線くらいだろう。 よしんば入線できたとしても、次の問題、補助電源が存在する。 現在、MGもしくはSIVから三相交流を給電する方法が一般的である。しかし、このJR東海の電車は211系の一部を除きDC-DCコンバータから直流600Vを給電する。これは、1990年前後に流行った方式で、 互換性のない方式は保守や運転取り扱い上の問題が生じる。SIVに交換するといっても電線の引き直しは必須、補器の一部は交換が必要だろう。ましてや機器類全交換となれば、補助金をかなりの額自治体から引っ張ってくるか、そもそもの基礎体力がある事業者でなければ不可能である (直流600V線であれば、架線電圧をそのまま給電するという方法も考えられなくはないだろうが、その場合は、そもそも補助電源を必須とする界磁添加励磁式の制御方式のほうに問題が生じ制御器・主電動機等を全面交換することになろう)。 これらの壁を乗り越えてでも購入するところは出てくるだろうか。 私は、買ううまみがないと感じる。 最も、18m級以下の車両しか走っていなかった熊本電鉄が20m級・2800mm幅の都営6000を買ったときには本当に驚いた。だから、今回もひょっとしたら意外なところが名乗りをあげるかもしれない。 ※2021.10.02 221系のシステム(DC-DCコンバータ+SIV)を念頭に置いた記述でしたが、車内の補器類の多くは交流対応であるため相応しくありませんでした。訂正し削除します。
by hiro_hrkz
| 2020-02-21 23:51
| 鉄道(その他)
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Comments(2)
Commented
by
島々な人
at 2020-02-26 18:40
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お久しぶりです。
>マニアの一部からは「これはたくさんのローカル私鉄に譲渡されるのでは?」という反応 正直「まあこの手の話は出ない訳がない」ってのが正直な感想です。まあ地方私鉄にステンレス車って事例が少ない故、「手を出す会社があるのか?」ってのがありますが。 >保守 吾輩的にJR系が私鉄系に優位なのが、パーツの確保だとおもってます。私鉄系の場合、車両の絶対数の少なさと会社(鉄道側と製造側両面)の癖がモロに出る。それ故に部品調達の難しさからの部品取り車になるかと。 >界磁添加励磁式の制御方式 実は界磁添加用ダイオードの調子の悪いヤツが結構ありまして、かえってVVVF化した方が、東急から養老鉄道に行った7700系並に寿命が延びそうは感じですがね。 >今回もひょっとしたら意外なところが名乗りをあげるかもしれない。 えちぜん鉄道の119系ことMC7000形みたく、ガワだけ買ってVVVF化という、「そんなのアリか?」な前例もあるので、買った会社の感性と根性次第かと。 個人的な考えですが、案外JR西が買ったりして。115系やら117系、さらには105系の寿命的見地と、JR西の財政具合、それ以上にほぼ同じ213系を持ってる事からすると、面白いとはおもいますが。 しかしえちぜん鉄道の119系ことMC7000形、乗った時は違和感しかなかった…乗り心地が国鉄なのに、サウンドがVVVFって最早変態の極みですよアレ。
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Commented
by
hiro_hrkz at 2020-02-26 22:56
>>島々な人さん
いまは、東急やら京王やらのステンレスカーが地方私鉄にだいぶ行き渡りましたから、ステンレスアレルギーの会社も減っているのではないかと思います。 保守面では、頭数が多いので部品には困らないだろう(置き場所代は考えないものとして)という考え方もあると思います。だた、やっぱりSIV/MGではなく、今更GTOサイリスタ使ったデデコンのお守をするのも、頭の痛い話ですね。 で、そこに手を付けると、結局界磁添加励磁制御自体やり直しで、下手すると、ドンガラしか利用できないんじゃないかと・・・・。走り装置をVVVF+IM化しても、結局補助電源の問題は残ってしまいますし。 転用するとなればJR西日本というのは、221系が界磁添加励磁制御+デデコン(+SIV)なので、そういった面でも最適解かなあ。。。と思います。 |