
いまだ木造駅舎が多く存在する富山地方鉄道から、本日は旧・黒部鉄道区間にある舌山駅を取り上げたいと思います。
富山県内には北陸新幹線の駅が3っつ設置されましたが、このうちいちばん東側は黒部市内に設けられることになりました。つまり黒部宇奈月温泉駅ですが、これが珍しくローカル私鉄の路線に近接して設けられました。そうなれば、沿線に観光地もある地鉄ですから当然2次輸送を担うことになります。黒部宇奈月温泉は、舌山駅から300mほどの場所であったため移転の噂も立ちましたが、結局は新黒部駅を開設し、舌山駅も存続しました。




舌山駅は相対式2面2線の交換駅で、下り宇奈月方面ホームには小さな木造駅舎があります。切妻で同じ黒部鉄道が開業した石田港駅を転用したといわれる
経田駅とは、あまり共通性が見られません。正面から見ると窓が小さめで、駅舎の色を明るくしたことが、却って鈍重な雰囲気を強めている感じもします。

無人駅であるため、駅舎内の窓口は多くが板で覆われています。
駅舎内も外壁と同じ色で塗ってしまったようです。


本来であれば駅舎以外の場所には柵が設けられているわけですが、無人駅ということもあるのか殆どが朽ち果てた状態で放置されています。おかげで駅はどこからでも出入りできる状態です。駅舎と反対側の富山方面のホームには小さな待合室がありますが、これも駅舎と同じ色で塗られています。
そういえばこの駅のあたりの架線柱は背の高い独特のものが多いですね。黒部鉄道はアルミ精錬のための電源開発の資材運搬路線として開設されので、送電線併設だったのではないかと推測するところです。



駅舎のある側の宇奈月温泉側には、かつて貨物ホームがあったと思しき痕跡もあります。そして大きな農業倉庫が建てられています。この倉庫は駅前に面して建てられているのですが、駅前広場?を挟んで反対側には旧・若栗農業会館の建屋があり、まるで農協の中に駅があるかのように感じます。そういえば、Nゲージのレイアウトで農業倉庫は建てても農協の建屋がある事例は少ないのかな?となんとなく思います。
・2020年11月 撮影