
上信電鉄の駅は、旧くも手入れが行き届いていて感じがよいところが多いと思います。
今回とりあげるのは、富岡市内の西側にある上州一ノ宮駅です。
1897年に一ノ宮駅として開業、1921年に上州を冠し現在の駅名となっています。
このあたりは、1954年の昭和の大合併で富岡市になる前は北甘楽郡一ノ宮町で、それが駅名の由来です。




パッと見た印象はごく普通の木造駅舎ですが、屋根の造りなど全般的に洋館の影響を受けているように感じられます。駅舎正面側の屋根の勾配が途中で変わっているのが少々特徴かもしれません。駅前面の入口の上には上信電鉄の社章が掲げられています。




時間帯によっては駅係員が配置されるため、窓口は生きた状態になっています。
群馬県の出身であればだれもが知っている(らしい)「上毛かるた」の"ゆ"の札が出口の上に掲げられています。これは、他にも下仁田駅や吉井駅で見ることができます。

「ゆかりは古し貫前神社」
駅名・地名のとおり、上野国一ノ宮である貫前神社が駅から約900mの場所にあります。
総門をくぐると尾根から下ったところに拝殿・社殿があるという少々変わった立地の神社で、街の中心から続く参道は尾根まで若干きつめの上り勾配となっています。

その参道の入口に石柱が建っています。国幣中社とあることから戦前のものと思われますが、この裏に回ると上信電鉄の1964年までの社名である「上信電気鉄道」の名を見ることができます。

・いずれも2019年6月 撮影