
近鉄奈良線は、大阪の難波から奈良を目指してほぼ平坦な平野部を一直線に東へ向います。そして瓢箪山で生駒山地に突き当たると一転、北北東に進路を変えて生駒まで30‰を越える連続急勾配に挑みます。
この勾配区間には3駅がありますが、そのいちばん難波よりにあるのが今回とりあげる枚岡駅です。駅そのものがカーブと勾配の只中にあります。また、駅の奈良側が撮影地であることでも知られています。


駅舎は二階建ての小さなもので、現在はご多聞に漏れず無人となっています。
駅前から続く道は急な下り勾配で、駅周辺に平らな場所はほぼありません。近鉄奈良線沿線の標高は鶴橋が3m、瓢箪山が9mなのに対し枚岡は48m。1.3kmで一気に39mを登っています。なお、この先の石切では100mを越え、トンネルを抜けた生駒は約140mです。


さて、枚岡駅は河内国一宮の枚岡神社の前にあります。駅の東側には参道があり、すぐに神社の境内になります。この道は駅前から唐突にはじまっているのですが、実はホームの延長により分断されたことにより生じたもので、もともとは上から3枚目の駅前の道と踏切でつながっていました。ただし、旧い地図をみても近鉄奈良線が開業する前から存在する道ではあるものの近世の参道というわけではなさそうです。東高野街道に面して一の鳥居がありますが、ここに繋がっているのは枚岡駅の難波側にある踏切の道です。

枚岡神社は創祀が皇紀前とされており非常に旧い歴史があります。また、枚岡の名前は明治合併の際に自治体名として取り入れられた(枚岡村→枚岡町→枚岡市)ため、現在の東大阪市東部一帯に広まっています。

その枚岡神社の境内には、このようなものがありました。
ここでも近鉄の沿線の寺社仏閣に対する義理硬さを感じるところです。

・いずれも2024年9月 撮影