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by ひろ
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いま、ふたたびの三山線
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 1974年に廃止になった山形交通三山線のモハ103は、廃線後暫く経って山形県西川町内にある設楽酒造店(月山の酒造資料館)で保存されました。私は丁度30年前の1994年の夏に、羽前高松~間沢の全区間を歩きとおすとともに、この車両を訪ねています。その時に撮影した写真は随分前にこのブログで掲載していますが、当時は雪国での屋外展示にもかかわらず良好な状態でした。ところが、その後劣化が進み屋根が陥没するなど危機的な状況になりました。そこで、地元の方を中心に三山電車保存会|モハ103修復プロジェクトが立ち上がり、クラウドファンディングで資金を調達。そしてこのほど修復が完了し、美しい姿を取り戻しました。去る11月23・24日には車内の公開を含むお披露目会が実施されましたが、それに合わせて私も30年ぶりにモハ103と三山線の沿線を訪ねてみました。

 間沢駅の跡については、このブログが始まった頃に1994年当時の状況を取り上げています。その記事の写真と同じ順番で現在の状況を並べてみたいと思います(待合室内部の写真を除く)。
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 間沢駅(山交バス三山営業所)は2000年頃までに建て替えられようで、かつて構内だった思しき場所にも既に民家が建てられています。また、ここを発着していた山交の路線バスは全て撤退しており、現在はかつての三山線のルートをなぞる寒河江~羽前高松~間沢を含めて全て西川町の町営バスになっています。駅周辺の道路も拡張されています。昔の写真では駅舎と道路を挟んで反対側に建っていたヤマザキの店(黒坂商店)は営業所の隣に移転して営業を続けていました。

 間沢から月山の酒造資料館がある海味駅方面へ向けて廃線跡を歩いてみました。
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 間沢駅の手前数百メートルの区間は廃線後、民家が建てられています。この区間にある用水路にかつての橋脚の跡が残っています。これは30年前には見つけられなかった遺構です。
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 新田~間沢の大半の区間は自転車道に転用されているのですが、この間沢~西海味の間は小学校が移転して新道が開通するなどしたため大きく変わっていました。最も30年前の時点でも勾配等は鉄道時代とは変わっていたと思います。
 その先は、30年前とあまり変化は感じませんでした。
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西海味駅の跡。駅に隣接して農協があり、かつてこの駅がどのように利用されていたのかが想像されます。
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海味駅の間沢側にある切通し。30年前もここを電車が通る姿を想像してシャッターを切ったのでしょう。
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海味駅跡。三山線の廃止記念乗車券にもなった久保田久雄氏が撮影した桜の下でモハ103とモハ106が並んだ写真(「電車をたずねて11 樹氷の郷里のチビ電車ー山形交通三山・高畠線」鉄道ファン162号(1974年10月)に掲載)の現在の状況です。

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 月山の酒造資料館は、三山線の間沢と睦合の中間あたりの北側にあります。現在は山形または仙台と酒田・鶴岡を結ぶ高速バスの西川町バスストップから10分程度で公共交通で訪れる点でも便利な場所になっています。この酒造資料館(電車の左側にある蔵)には三山線関連のものも多数収蔵されており、電車を訪問の際には見学されるとよいと思います。
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 現地で展示されていた修復途中の写真を拝見しましたが、パンタグラフ側の屋根が完全に陥没しておりよくぞここまで修復された!と改めて感じました。修復にあたっては、地元の高齢の大工さんが中心になって施工されたとのことで、その点でも絶妙のタイミングだったということです。なお、モハ103は昭和30年代初頭には既に旅客運用から退き、工事用電車になっていたことが知られています。従って、車内のつり革にある広告などもおそらくはその頃のもの・・・約70年前のものではないかと思われます。座席下にヒーターがある点は、やはり雪国の電車ですね。
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 さて、今回の公開で驚いたのはモハ103の制御器が前後で異なっていたことで、片方は川崎造船のK1を、もう一方は東洋電機のDB-1を取り付けています。直接制御車ですから何の問題もないのですが、どちらがオリジナルであるのか気になるところです。モハ101の車内の写真を見ると、制御器に楕円の銘板があるので川造製であることがわかるのですが、日本車輌が態々川造の電装品を買うのか?と考えています・・・ちなみに近隣では仙台市電のモハ1が川造製で川崎造船の直接制御器を採用していますがK3と型式が異なるようです(仙台市電保存館に保存車を見る限り・・・ですが)。
 何度か記していることですが、1982年6月~84年1月に「鉄道ファン」誌で連載された高井薫平氏の「昭和30年代の地方私鉄を訪ねて 古典ロコ・軽便・田舎電車、そして・・・」は当時小学3年生だった私をローカル私鉄の世界に引きずり込んだわけですが、中でも1982年8月の「みちのくの田舎電車」は山形交通三山・高畠線、羽後交通雄勝線、庄内交通湯野浜線を取り上げており、とりわけ印象深いものでした。拙ブログの模型の記事では、そのタイトルを拝借しています。また、私が特に訪ねている高松琴平電鉄においても、訪問当初の頃はもと三山線のモハ111→860、モハ112→870が主要なターゲットの一つでした。私の中で羽前高松はダイレクトに高松築港に繋がっているのかもしれません。30年ぶりの三山線訪問は、私の鉄道趣味についていろいろと思いを巡らす機会にもなりました。

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30年前は20歳になったばかりで全く日本酒は飲めませんでした。実は日本酒は40歳を過ぎてからようやく飲めるようになったのですが、今回は「一声」を1本買ってまいりました。設楽酒造店さんと復元に携わった皆様に敬意を表して飲みたいと思います。
by hiro_hrkz | 2024-11-30 23:28 | 鉄道(旧形電車) | Comments(0)