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三岐鉄道 クハ210形216
2026年 02月 14日
三岐鉄道は全国でも珍しい、戦後混乱期(おおむね1951年まで)よりも後に電化が実施されたローカル私鉄で1954年に完成しました。当初は貨物のみが電機牽引で、その2年後の1956年12月から旅客列車も電車に変わります。
三岐は、最初の電気機関車を東洋電機に発注した縁なのか、電車運転用に購入した買収国電も東洋電機系列の東洋工機で改造の上で入線し、続いて導入した自社発注の高性能車も東洋電機製(車体は東洋工機)でした。ところが、東洋工機は1965年頃に鉄道車両の車体製造から撤退したため、東洋電機は車体製造を西武所沢工場に依頼(この結果、生まれたのが上信電鉄200形後期車でした)。1973年に三岐が増備したED457も東洋+所沢の組み合わせです。 ※ このような縁ゆえなのかはわかりませんが、三岐鉄道は1970年代以降、電車の供給を西武所沢工場に頼るようになります。しかし、この1970年代初頭というのは相次ぐ輸送力増強で、(関東)大手私鉄の中古車両は払底し出てきても車体だけという状態でした。このため、三岐が導入した車両は毎回異なるものになります。具体的には ・モハ140(1970年7月) もと小田急電鉄1600形・主電動機はTDK-501をどこからか流用 ・モハ150・151(1972年3月) 西武鉄道311形の電装品に新造車体の組み合わせ ・モハ155・156(1975年1月) 西武鉄道311形の電装品に相模鉄道2000形の車体の組み合わせ (ただしモハ150~156の主制御器はABF・・・小田急の中古か?) そして、1976年10~11月に竣工したのは、もと小田急2100形のモハ125、クハ215、216でした。 ![]() 当時、小田急では4000形の増備のために在来の吊り掛け駆動車を廃車にし機器を捻出していました。このような機器流用は南関東の他の大手・準大手でも行われており、車体だけが出回ることになった最大の理由です。最も、小田急の場合、流用したのは主電動機程度だったので、抜け殻となった車両は制御車として使用するのであれば、それほど問題にはならなかったと考えられます。 4000形増備車は1700・1900・2100から機器が流用されましたが、このうち1700形は車体幅2800mmがネックになったのか全く売れず、1900と2100が数社に譲渡されました。新しかったのは1954年1月製の2100形のほうで合計8両ありましたが、譲渡は三岐への3両に留まりました。 2100形は車体・台車の軽量化を試みたもので、同年に導入する高性能車の2200形の先行モデルという位置づけがあったと思われます。車体はノーシル・ノーヘッダーで、窓配置も同形式と同じd1D3D3D2のいわゆる新関東形ですが、こちらは窓の上隅のRがないのが異なる点です。少数派ということで、小田急でも特に影の薄い車両だったようです。 三岐は、このうちデハ2104、クハ2153、クハ2154を譲り受け、モハ125、クハ215、216としました。クハ215は日本車輌東京支店、ほかは東急車輛製です。クハの台車は種車のFS-14を流用しましたが、モハは台車を小田急で荷電に流用したため、西武の廃車発生品であるTR14Aに変え、主電動機も同様に国鉄MT4を取り付けました。なお、主制御器はモハ140・150と同様にABFで、これは種車のものを流用したと考えられます。これら電装品はモハ150形と同等なのですが、なぜか自社発注の高性能車と同じモハ120形に編入されました。 このあと、三岐鉄道は西武の20m級車を導入するようになります。国電サイズですが既に150形で車体幅が2805mmになったため、支障箇所は少なかったのではないかと思います。地方私鉄向けに車両改造を多数手がけた西武所沢も、1970年代後半以降は西武の廃車車両の譲渡時のみの改造に縮小してゆきます。 3両とも1990~1991年に廃車になりました。 ※ 渡邊 誠「電車モーターを設計していたころ ~昭和40年代の製造現場から~(6)」鉄道友の会福井支部報わだち 129号 2010年3月 (ウェブアーカイブ) ・参考文献 南野哲志・加納俊彦『RM LIBRARY62 三岐鉄道の車輌たち ー開業から50年ー』 ネコ・パブリッシング 2004年 山下和幸「私鉄車両めぐり101 小田急電鉄」 鉄道ピクトリアル286号(1973年11月増) 鉄道ピクトリアルアーカイブスセレクション2 に収録。
by hiro_hrkz
| 2026-02-14 01:59
| 鉄道(近代形電車)
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