61回目の広島原爆忌ということで。
こうの史代「夕凪の街 桜の国」は、原爆を扱った作品ながら、
おもてだった表現ではなく、一コマ一コマの奥の深さで読ませる作品だと思います。
とはいえ、私がこの作品を知ったのは、そんなことが理由ではありません。
桜の国に「水道タンク」がでてくること・・・。
東京都中野区北部で生まれ育った私にとって、この建物は忘れることのできないものなのです。
正確には野方配水塔といいますが、バス停の名前にもなっている様に
基本的には「水道タンク」と呼ばれます(近年は、幼稚園と公園の影響で「みずの塔」とも言いますが)。
中島鋭治博士の設計によるもので、1930年築。
多摩川から東京西北部の豊多摩・北豊島へ水を導いた荒玉水道の配水塔として作られました。
東村山浄水場の完成で使用中止になりましたが、現在は、中野区の非常時用貯水タンクとして使われています。
さて、これとほぼ同じ配水塔が、ここから4kmほど北に行った場所にありました。
これが大谷口配水塔。やはり荒玉水道の施設ですが、若干小さかった様です。
こちらも「水道タンク」とよばれ、やはりその名前のバス停がありました。
ただし、こちらは、非常用設備などとして活用されることもなく廃墟状態で放置。
そして、2005年、ついに解体されてしまいました。

左:野方配水塔と関東バス P-U32K +富士5E 1998年5月 東京都中野区
右:大谷口配水塔と国際興業バス U-LV324K +アイケー 2004年10月 東京都板橋区