輸送機械の世界では、お払い箱になったものでも、別の事業者に譲渡され再度使われるというのは普通の事例です。鉄道車両のように寿命が長いものでは、複数回の譲渡が行われるのは珍しくありません。
これが、路線バスの場合、耐用年数の関係で、複数回の譲渡(多重移籍)例は珍しいものでした。
ところが、最近、こうした譲渡車両の移籍時の車齢が上昇しており、また路線バス事業を廻る情勢の変化で、幾つかの例が見られるようになりました。
今回から、その数例を紹介したいと思います。
先ずは下北交通のLVです。
こちらでも触れましたが、同社は三菱中心ながらも、特定輸送用などで他メーカーの車両も若干ではありますが保有しています。むつの営業所にお邪魔すると、意外に多様な車種が並んでおり、驚きました。
・下北交通 いすゞU-LV324M +アイケー 2005年9月 青森県むつ市
その中に、このLVが止っていました。すぐに、もと淡路交通の車両であることは解りました。
が、ナンバーから類推される移籍年では、淡交側の廃車は既に前中扉になっており不自然です。この車両、現在、移籍車市場を賑わせる南海電鉄(南海バス)経由でやってきたものでした。
リースゆえ5年程度で廃車にする淡路交通の特殊事情、そして南海で廃車になる頃には
移籍車両の車齢高騰が発生したために再度の移籍が可能だったと、捉えることができますね。
・2020.12.3 画像を交換しました。