前回に続き、今回もキーワードは10年。
人間、年をとればとるほど時間の経過が早く感じるという。
子供の頃は1年が物凄く長い
10代になると1日が束になって飛んでゆく
20代になると1週間が束になって飛んでゆく
30代になると1ヶ月が束になって飛んでゆく
(そして40代になると1年が、50代になると10年が・・・・)。
もっとも、これは「生きてきた時間」という分母が大きくなるからなのであって、当然の理論らしいが。
そんな時の早さの中で実感がまるっきりないのだが、自分がインターネットというものに出会ってから10年の年月が流れていることに気づいた。そりゃ、トシをとるわけである。
その10年前の夏、ネット上の2つの掲示板・・某ローカル私鉄の板と、某バスの板で知り合った方々と相次いで実際にお会いすることになった。今思うと、ネットは未だ安全だったということなのだが。
当時、趣味では、ある意味タコツボ状態にあった私にとって、地方私鉄もしくはバスというキーワードを介する交友関係ができたのは幸運だった。大学鉄研など団体に所属したところで、趣向性が合うとは限らず、軋轢さえ生み出すのがこの趣味の特異な点である。ネットには少数派に属する人々を有機的に結合する役目があることを、認識した
(そして、私は、ネット上では当時、実年齢+10~20歳で見られていたという驚愕の事実も判明・・・)。
それから時が流れ、今現在の交友関係も、殆どは、このときの出逢いからチェーンしていったその先に成り立っている。このサイトもブログも、あるいは路面モジュールへの参加も今月の雑誌での発表も、10年前に、この二つの板がなければ存在しなかった。他の縁がきっかけで、どれかに手をつけたかもしれないが、少なくとも今のカタチにはならなかったはずである。袖触れ合うも他生の縁。まことに人生とは不思議なものである。
実は、私にとって、ネットとの出逢いというのは、本意ならざるものだった。人口の多い世代に生まれ、就職氷河期に大学を卒業した私は、思うように就職先を見るけることができず、結局、縁もゆかりも全くないコンピュータプログラマーという仕事をするハメになった。しかし、それゆえに、他の人よりも早い時期に、ネットに触れることができた。もし、この状況になければ、初動の遅い自分のことだから、ネットに触れるのは確実に5年は遅れていたと思う。
人間万事塞翁が馬、という言葉の意味を、このことを思うたびに噛み締めるのである。
あれから10年、もちろん、自然消滅してしまった関係も多々あるけれど、いろいろな人に支えられての今日がある。改めて感謝申し上げたい。
そして、このさき10年も、多くのよい縁があることを願っている。