1960年代前半、人口の爆発的な増加に伴いに輸送力増強に追われた札幌市電。
親子電車に失敗したあとは連節電車を登場させました。
その最後となったのがA830形で、1965年に日本車輛と東急車輛でそれぞれ3編成づつ製造されました。1964年に東急車輛で製造されたA820形の改良型で、中扉が両開き式から2枚片引き式になるなどの点が異なっています。
ちょっと特異なのが、主電動機が各台車に1台づつ取り付けられていること。1編成で3機となるわけで、どのような制御方式(間接非自動式ですが)だったのか、興味あるところです。


・名古屋鉄道美濃町線 モ873+モ874 1994年4月 徹明町
折角の連節車も、その後の地下鉄建設に伴い10年程度で使用休止に。
その中で、A830の東急車輛製3編成(A837~A842)は名古屋鉄道に譲渡され、美濃町線に投入されました。
側面の固定窓は、一部が2段窓に改造(後に全部改造)されるなど本州向けの対応が行われました。そういえば、同じ時期に、同じ東急車輛で製造された定山渓鉄道モハ2300も固定窓で登場し、その後の顛末は、もはや伝説となっています。でも、そのようなことはこちらでは聞きませんね。ちょっと前までドイツなんて夏でも25度くらいが最高で、電車は固定窓が普通だったのですが。
ところで、この車輛、A820やディーゼルカーのD1040と同じく、大きな窓や曲面を多用した美しい外観が魅力的・・・とよく書かれるのですが、それは見た目のはなし。
大きな窓が災いして、座席の背もたれは極端に低く、すわり心地は良くなかったことを思い出します。これは、地下鉄南北線の2000形あたりと共通に思えます(・・・こちらには別の理由がありますが)。

これらは、1996年に行われた大規模な修繕工事で改善され、側面は普通の2枚窓となり、車内もきちんとした座席が取り付けられました。その分、スタイルは大幅に損なわれアンバランスな外観となりました。
※2014.08.05 画像を交換しました。